なぜ子どもは熱中症になりやすいの? 〜仕組みを知って、保育に活かす予防と対応〜

コドモンカレッジでは、オンライン研修「なぜ子どもは熱中症になりやすいの? 〜仕組みを知って、保育に活かす予防と対応〜」を開催いたしました。
小児科専門医であり、株式会社コールドクター 小児医療アドバイザーの風間尚子先生に、保育・教育施設で実践できる熱中症予防の最新知見と、具体的な対策についてお話しいただきました。
本ページでは、研修参加者から挙がった風間先生への質問とその回答をご紹介します。
Q&A
Q
発熱が感染症などによるものなのか、熱中症によるものなのかを判断するポイントがあれば教えていただきたいです。
A
感染症の場合は、ウイルスや細菌が感染している臓器で炎症が起こり、症状が出現します。たとえば、喉の風邪であれば、喉が痛んだり赤くなっているケースが多いです。診察時に発熱はあっても他に症状がなかったり、診察で異常がない場合もあり、そのような場合に熱中症も原因の一つとして考えられます。しかしあくまでも可能性の一つであり、これは保育現場での判断は難しいと思います。
現場では、先生方には感染症でも熱中症でも、症状がある場合には安静にしてもらうという判断が適切だと思います。特に夏場は、休ませている間に水分摂取を促したり、排尿状況の確認をしたりすることで、より安全性が高まるでしょう。
Q
熱中症は、一度かかると、適切に治療しなかった場合に再発しやすいと聞きました。そのような場合、どのような対応が必要でしょうか?
A
熱中症は、病気というより、一時的に体の温度調節機能がうまく働かなくなった状態です。
特に、体内でエネルギーをつくる「ミトコンドリア」が熱ストレスによってダメージを受けるため、回復には一定の時間が必要です。この回復にかかる時間は、熱中症の重症度によって異なります。軽度であれば1~2日程度で自然に回復しますが、重症の場合は機能回復に数日以上かかることもあります。
軽症の場合は必ずしも病院での治療を受ける必要はありません。重症度に応じた適切な処置がされ、症状が改善されれば問題ないと考えます。
その後の症状が落ち着いていれば特別な治療は不要で、普段通りの生活に少しずつ戻してかまいません。ただし、再発を防ぐためにも無理は禁物です。体調をよく観察しながら、徐々に活動量を増やすようにしましょう。
Q
「熱中症でした」と登園してくる子どもについて、どれくらいの状態であれば受け入れ可能ですか?
A
まず大前提として、現在、熱中症の症状がまったく見られないことが必要です。具体的には以下のような状態であれば、登園を受け入れてよいと思います。
● 意識がはっきりしている(ぼんやりしていない)
● 食欲があり、水分も自分でしっかりと摂取できる
● 発熱・倦怠感・頭痛・めまい・吐き気などの症状がない
● 普段通りに活動できる様子がある
逆に、少しでも体調不良の兆しが見られる場合は、もう一日様子を見ることをおすすめします。熱中症の再発を防ぐためにも、完全に回復したことを確認したうえでの登園が安心です。
Q
室内の冷気を出しながらテントの下で短時間で外遊びは可能ですか?
A
冷気の出る扇風機やテントの利用は有効です。外遊びを行う際には、暑さ指数(WBGT)を参考にして活動可否を判断するのが基本となります。そのような工夫がある場合は、様子を見ながら屋外の活動時間を伸ばせる可能性があります。
外遊びを安全に行うためには、以下のような配慮をしながら取り組みましょう。
・30分に1回は水分補給の時間を設ける
・遊んでいる間も熱中症の症状がないか観察する
・テントや日陰などで直射日光を避ける
もし、室内から冷気を送る設備(冷風機など)を活用できるのであれば、体感温度を下げるという意味では一定の効果が期待できます。ただし、単純な扇風機ではかえって逆効果になることもありますので、ミストや冷風を併用するようにしましょう。
外遊びを完全に避けるのではなく、こうした対策を取り入れながら行うことは、子どもたちの暑さへの適応力(暑熱順化)を高め、夏場の体調管理にとってもプラスになります。
Q
WBGT指数が高いときに水遊びをさせるのはNGなのでしょうか? 水遊びをした方が熱中症予防になる気がしているのですが……。
A
水遊びは体を冷やす効果があり、条件が整えば熱中症予防にもつながります。ただし、WBGT(暑さ指数)が高い=熱中症リスクが高い環境であるため、たとえ水遊びであっても注意が必要です。
また、保育園での水遊びは、全身が水に浸かるのではなく、膝程度の水に入って遊ぶことが多いと思います。その場合、水の冷却効果はあるものの、炎天下や高湿度の中では十分に体温が下がらないこともあります。
いずれにしてもWBGTが「危険(31℃以上)」のときは基本的に屋外活動は中止が原則です。WBGTの数値だけでなく、子どもの様子やその日の気象条件を総合的に見て判断することが大切です。
見逃し配信のご案内
『なぜ子どもは熱中症になりやすいの? 〜仕組みを知って、保育に活かす予防と対応〜』は、見逃し配信でご視聴いただけます。
保育・教育施設で実践できる熱中症予防の最新知見と、具体的な対策について解説いただいています。
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