子どもの虐待予防~虐待が起きる要因とは?~

児童虐待は子どもの成長・発達にとって悪影響を与えるだけではなく、時には子どもの命に関わることもあります。子どもと深く関わる保育所は、虐待を早期発見しやすい立ち位置にあり、虐待防止の対応が求められます。
コドモンカレッジでは、子どもの虐待予防をテーマに武庫川女子大学の倉石哲也先生に、保育者としてどのように虐待と向き合えばよいか、早期発見のポイントについてお話しいただきました。
本ページでは、研修から抜粋した「虐待が起きる要因」についてと、研修参加者から倉石先生への質問、そしてその回答をご覧いただけます。
子どもの虐待予防に不安を感じている方は、ぜひご参考ください。
Q&A
倉石先生に、保育者の方からの質問へご回答いただきました。
【虐待が疑われるときの対応方法、対応するときの注意点】
Q
虐待が疑われる子どもを発見した場合、まずは誰に相談・連絡をするべきでしょうか?
A
・クラス担任が発見した場合
特に決まっていません。園により職員の役割は異なるので、職場の役割をまずはご確認ください。そのうえで、職場で相談しやすい人と、だれに相談するべきかを相談してください。
・施設長が認識した場合
市町村保育課、保育課から児童家庭課など、虐待対応課に発見者から連絡してもらうようにしてください。
Q
スタッフ間で情報共有するときのポイントはありますか?
A
いつ、何が、どの程度(傷、痣、他、子どもと親の気になる様子)あったのか、を日付で記録しておいてください。写真、スケッチ、メモや日誌(記載があれば)で記録しておくとよいです。それをもとに共有してください。
Q
見守りから通告に踏み切るときの目安はありますか?
A
明確な目安はありません。先生方の「勘」を大事にしてください。
傷やケガ、不衛生、医療未受診、子どもの激しい言動などが繰り返された場合は躊躇せず通告してください。
一度、通告の判断を躊躇すると、遡って通告するのは難しくなります。
【保護者へ声かけするときのポイント、対応するときの注意点】
Q
虐待が疑われる子どもの保護者へ声かけするときの具体例を教えていただけますか?
A
保護者も困っているはずです。
「どうしたの?」「心配している」「一緒に考えて支えるよ」といった姿勢で声かけをするとよいでしょう。
子どもには、「どうしたの?」「いつ」「誰が」と5W1Hで声かけすること。
「お母さんに叩かれたの」などと誘導する質問はNGです。
Q
虐待が疑われる子どもの保護者に対応するときの注意点はありますか?
A
保護者には、虐待が疑われることをしっかりと伝えます。
保育所はあなたとあなたの子どもを全力で支えます、お母さんお父さんも協力してほしい、という強い意志を示すことが大切です。
子どもには、保育施設、保育者が安心できる場所・人であることを伝えるとよいでしょう。
子どもの表現はできる限り受け入れる。難しい場合は制限をかけることも必要です。
ひとりで遊ぶときには、大人ひとりが付き添うようにしましょう。
被虐待体験を再現する場合は、やめさせず「今は(ここは)安全だよ」と声をかけるとよいでしょう。
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研修では、下記の虐待が起きる要因などについて、より詳しくご解説いただきました。
虐待が起きる要因
虐待が起きる要因は、保護者自身の要因や子どもの要因、社会的要因などさまざまです。
虐待の要因を探り、サインに気づくことが大切です。
【虐待のサイン】
1.子どもの様子から気づく
・無差別の甘え、保育士や子どもの接触を嫌う、うつろな表情 など
・衝動的、大人言葉で怒る、性的な遊びを繰り返す など
・食事への関心が高い・低い、虫歯の放置、傷の放置、不衛生 など
2.人間関係から気づく
・被虐待体験を遊びで再現する、二者関係が作りづらい
・愛着障害(大人が怒ることをわざとする)、友だちから嫌われる など
3.保護者の様子から気づく
・登園が不安定(途中入所、入所理由が不詳など)
・きょうだい差別が甚だしい、保育者を避ける、生活リズムが不安定 など
・家族以外の出入りがある、養育環境がつかみづらい など
虐待的な環境に置かれた子どもの反応はさまざまです。
傷や痣などができていても、子どもから虐待を訴えることは多くありません。
職員を困らせる行動は、子どもからのSOSと捉え、丁寧に対応しましょう。
保育者などが丁寧に子どもに関わることで、一時的に回復することがありますが、逆境的環境がすぐに改善されることはありません。
細やかな観察、情報の共有、引き続きの見守りが必要です。

子どもの虐待予防をテーマにしたオンライン研修「子どもの虐待予防研修~早期発見から通告の流れを知ろう~」は、コドモンカレッジにて見逃し配信でご視聴いただけます。
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