子どものレジリエンス(立ち直る力)とは?
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レジリエンス力とは?
レジリエンス力とは、「ポキッと折れずに、しなやかにしなる力」のことです。
逆境に置かれたときに早く復活できる人をResilient(レジリエント)な人といい、レジリエンスはこのレジリエントからきています。レジリエンス力が高い人や低い人というのは、ストレスをどう捉えるのかが大きく起因しています。
なにか嫌なことがあると「嫌だ」「どうしよう」と考え、だんだん体にも影響が出てきます。ストレスを抱えている状態です。
レジリエンス力が低いと、解決しようとする意志が働かないので、ずっとぐるぐる悪い考えが回ってしまい、うまく行動することができません。
そういうときに、自分で自分を励まし、「できるようになりたい」「もう少しがんばってみよう」と気持ちを切り替えられる。
レジリエンス力が高いというのは、そういう状態を指します。
大人はもちろん、子どもだって、レジリエンス力の高さはそれぞれです。
ふだん接しているなかにも、新しいことへのチャレンジが苦手だったり、すぐにあきらめてしまう子がいるのではないでしょうか?
子どものレジリエンス力は、周囲の大人の関わり方によって伸ばしていくことができます。
本記事では、
・レジリエンス力の高い子ども、低い子どもの姿の見分け方
・レジリエンス力を高める関わり方
・保育現場で活用できる「関わり方の注意点」「支援例」
についてお伝えします。
明日からすぐに実践できる関わり方を、ぜひご確認ください。
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1.レジリエンス力チェック
冒頭でご説明したように、「レジリエンス力」とは、自分をはげましたり、気持ちを切り替えたりできる力のこと。特別なものではなく、人間に本来備わっている力です。
では、どういう状態だと「レジリエンス力が低くなっている」と判断できるのでしょうか。
園児用のチェックリストで、受け持っている園児たちがどれくらい当てはまるか確認してみましょう。
3つ以上当てはまる子どもは、レジリエンス力が低くなっています。
レジリエンス力が低い子どもは、要求を言葉にすることが少なく、暴力的になったり、泣いたりする傾向があります。「やりたくない」と思ったときに、その意思表示が適切にできず、その場で動かなくなることもあります。
では逆に、レジリエンス力が高い子どもの姿を見てみましょう。
レジリエンス力の高さは生まれつきではありません。
レジリエンス力を高められる環境にあるからこそ、自分で身につけようとする力が育ち、結果としてレジリエンス力が高くなるのです。
環境が大切なのです。
現状、レジリエンス力が低いお子さんでも、日常的に関わる大人が適切な支援をしていくことで、脱出していく力をつけることができるでしょう。
2.「保育実践」レジリエンス力を高める関わり
保育でレジリエンス力を高める支援例をお伝えする前に、まずは、大人のレジリエンス力を高める対応策をご紹介します。
対応策のキーワードは「短く+狭く」考えることです。
【例】

「長く+広く」考えるのではなく、期間を短く、範囲を狭く考えることでプラスに考えるくせを鍛えます。
レジリエンス力を高めるのは、腹筋運動のようなものです。劇的な改善はしませんが、少しずつ鍛えていくことでレジリエンス力を高めていくことができます。
また、レジリエンス力は以下に示す4つの柱に支えられています。
アイアム(I AM)・自分自身を知ること、自分が嫌な気持ちになることを認めて知っておくこと
アイハブ(I HAVE)・仲間やサポーターがいる、助けてくれる人がいるとわかっておくこと
アイキャン(I CAN)・逆境から脱出できると思うこと
アイライク(I LIKE)・好きなこと、好きなものを糧とすること
この4つの柱を意識することで、嫌な気持ちから脱却することができると言われています。
これらをもとに、保育現場でできるレジリエンスを高める具体例をご紹介します。
それは、3つの機会を増やすことです。
・「人を助ける経験」を増やす
お手伝いを通して、親や保育者、お友達を助けるといった経験を増やし、感謝を伝えることで、「自分は価値ある人間である」という自信を持つことができます。
ただし、細かく手順を指示したり、「やり方が違う」と言ってしまうと、自信につなげることができません。
・「自分で決める経験」を増やす
日常のささいな選択も、子ども自身に決めさせましょう。自身の選択で成功すると、自信につながり、自己肯定感が高まります。失敗しても、選択できたことを褒めて励ますとよいでしょう。
・「自分のことを話す機会」を増やす
自分の考え、感情、経験(失敗したことも)を話すことで、絆を再確認することができます。話してくれたことに対して「だから~しなさいって言ったでしょ」などと言ってしまうと逆効果です。失敗しても話してくれたことを褒め、励ますことで、劣等感ではなく自己肯定感を持つことができます。
この3つの積み重ねで、子どもは自信をつけ、レジリエンス力を高めていきます。
普段の活動では、保育士が子どものすることや子どものできる範囲を決めてしまうこともあるのではないでしょうか。子どもが自分自身で決めたり、人を助ける経験を増やしていけるといいですね。
より学びを深めたい方へ
本記事は、コドモンカレッジで開催した研修「子どものレジリエンス(立ち直る力)とは?」より一部を抜粋して作成しております。より詳しく学びたい方は、コドモンカレッジより見逃し配信をご覧ください。
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〇「子どものレジリエンス(立ち直る力)とは?」講師紹介
東京福祉専門学校 臨床心理士・公認心理士・精神保健福祉士 山岸 有里 先生
現職の東京福祉専門学校では、精神保健福祉士・臨床心理士・公認心理師の国家資格を活かし、本校の教務部で学生相談に携わり、保育学生のあらゆる面からサポートを行う。
心理カウンセラー科の講師としても担当し、「心理演習」や「公認心理士の責務」などの教鞭を執る。
また、滋慶学園が運営している認可保育園「にじのいるか保育園」にて、園長・主任・保育士に向けて研修・講演を多数行ってきた。内容として「認知と非認知、社会情動性を高める保育とは」 「自己肯定感を高める保育とは」「子どものレジリエンス力を高めるプログラムとは」など、保育現場で活かせる様々な研修を行っている。