【園内研修】保育士に必要なコミュニケーションとは?

 
保育園は「人が育つ場」であり、保育士の仕事は子どもを中心とし、職員や保護者など、たくさんの人とのつながりのなかで成り立ちます。
保育士ひとりでは保育はできません。そのため、保育士同士のコミュニケーションが不可欠であり、コミュニケーションを円滑にとることが、豊かな保育の実践につながります。
 
コミュニケーションはとても大切であると頭で分かっていても、苦手意識がある方もいるのではないでしょうか。園内研修をとおして、コミュニケーションについて必要な知識を学べば、日々の保育にも活かすことができるでしょう。
 
そこで今回は、保育士に必要なコミュニケーションの基礎やポイントについて紹介いたします。ぜひ園内研修の参考にしてください。
 
 

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コミュニケーションとは

 
コミュニケーションの語源は、ラテン語の「communis」と言われています。
この「communis」には、「共通の」「共有する」「分かち合う」といった意味があり、一方向からの矢印のイメージである「伝える」とは違い、矢印が双方向に向き合っているイメージを指します。
 
お互いに意思や感情、思考を伝達し合うコミュニケーションにおいて、しばしば「伝えたつもり」「分かったつもり」といった状況が起こるのは、この「共有する」という本来の目的、そして伝え「合う」という点が不十分なのかもしれません。
 
 

保育士になぜコミュニケーションが必要なのか

 
子ども、職員、保護者など多くの人たちとの人間関係のなかで働く保育士にとって、コミュニケーションをとる力は仕事を進めていくうえでの必須能力になります。
子どもに対し自分の思いを伝えるだけの保育士よりも、子ども一人ひとりの思いに寄り添い、気持ちを通わせることができる保育士のほうがいいでしょう。
先にお伝えしたように、矢印が一方通行になるのではなく、双方に向かっている状態かどうかを想像しながらコミュニケーションをとることが大切です。
 
保育には、一日をとおして「相手の気持ちを考える」ことでより質の高い保育となる場面が多々あります。
たとえば登降園時、保護者に挨拶をするだけでも成り立ちますが、園での子どもの姿を伝えることで「しっかり見てくれている」と感じるでしょう。
活動中、子どもにやるべきことを伝えるだけでなく、できたことを一緒に喜ぶことで子どもたちの自己肯定感が育まれるでしょう。
 
このように保育の現場では、保育士の積極的なコミュニケーションが欠かせません。
円滑なコミュニケーションは、信頼関係の構築につながり、その信頼関係が保育の質の向上につながります。
 
 

コミュニケーション研修の内容

 
ここからは、園内研修でコミュニケーションについて扱う場合に伝えたいコミュニケーションのポイントについて紹介いたします。
研修で伝えておきたい具体的な内容を保護者、子ども、職員間の3つにわけて解説していきますので、ぜひ園内研修の参考にしてください。
 
 

保護者とのコミュニケーション

 
保護者対応は、近年とくに重要視されている保育士の仕事のひとつです。
核家族化や共働き家庭の増加により、保育園に子育てを頼らざるを得ない状況にある保護者は多いでしょう。
積極的にコミュニケーションをとり、保護者が安心して子どもを預けられる環境を整えることが大切です。
保育園や保育士を信頼してもらうことで、園の方針への理解・協力も求めやすくなります。
 
 

 
 

子どものようすを伝える

 
保護者とのコミュニケーションにおいて、笑顔で接することや日常的な挨拶のほか、子どものようすを伝えることはとても大切です。
子どもが頑張っていたこと、夢中になっていたこと、成長の様子など、些細なことでも伝えましょう。
「我が子のことを見ていてくれているのだな」という安心感を生み、保護者との信頼関係の構築につながります。
 
保育士が保護者とコミュニケーションをとるタイミングは、送迎時のわずかな時間です。
また、保育時間の長時間化にともない、保護者と顔を合わせることが難しい場合もあります。
子どものさまざまなエピソードを常にストックしておき、保護者と会話できるタイミングができたときには、一言でも子どもの様子を伝えられるようにしておくとよいでしょう。
 
 

忙しくても落ちついて話す

 
保護者とコミュニケーションをとる場面は、保育中やほかの業務中ということもあるでしょう。
このような場合、保護者以外のことに意識を向けなればならないこともありますが、片手間に話をすることは、相手に対して不信感や不安感を与えることにつながります。
周りの職員に声をかけるなどの工夫をし、保護者対応ができる状況をつくりましょう。
 
笑顔で、目を見て「おはようございます」と言ってもらえるだけでも、保護者に安心感をもってもらうことができます。
丁寧な言葉づかいで、落ち着いて話をすることが大切です。
 
 

子どもとのコミュニケーション

 
子どもにとって、大人の存在は必要不可欠です。
そのことからつい過保護にしたり、言うことをきかせようとしたりと、適切ではないコミュニケーションをとってしまう保育士もいるのではないでしょうか。
しかし相手を一人の人間として尊重し、気持ちを受け止めることで、よりよい関係性を築くことが可能です。
 
 

子どもと目線を合わせる

 
保育士が立った状態で子どもとコミュニケーションをとると、子どもにとって自分の頭より上から言葉をかけられることになり、威圧感を感じやすく、大人の表情も分かりにくくなります。
そのため、物理的に子どもと目線の高さを合わせることが大切です。
 
子どもと接するときにはかがむなど、できる限り子どもと目線を合わせることで、子どもは先生が自分の話を聞いてくれている、と感じることができます。
また、保育士から子どもになにかを伝えるときにも、目線を合わせて話をすることで、伝えたい内容が子どもに伝わりやすくなり、コミュニケーションがとりやすくなるでしょう。
 
 

「ありがとう」と感謝を伝える

 
子どもが手伝ってくれたときや、積極的に行動して助けてくれたとき、友だちに優しく接している姿を見かけたときなどには、感謝の気持ちを伝えましょう。
ちょっとしたことでも「ありがとう」「助かったよ」と感謝の気持ちを言葉で伝えていくことで、子どもは「自分は必要とされる人間なんだ」と感じ、自分に自信をもつことができます。
 
大人でも、人の役に立てたり、感謝されたりすると嬉しいものです。
自分を認めてくれる人、自分に自信を与えてくれる人には、子どもは心を開いていくでしょう。
信頼関係を築くうえでも感謝を伝えることはとても大切です。
 
 

職員間のコミュニケーション

 
職員間のコミュニケーションと一口にいっても、先輩保育士とのかかわり、同僚とのかかわりなどさまざまです。そのなかで辛い思いをしたことのある方もいるのではないでしょうか。保育士は人間関係での離職も少なくありません。
適切なコミュニケーションをとり、自分にとってよい職場環境を作りあげていきましょう。
ここではどの職員と接するときにも気をつけたいコミュニケーションのポイントをお伝えします。
 
 

報連相をしっかり行う

 
保育業界だけではなくビジネス用語として定着している言葉のひとつに「報連相(報告・連絡・相談)」があります。
普段なにげなく行っている保育業務ですが、保育士同士で報連相がないと、さまざまなトラブルに発展する可能性があります。
仕事をするなかで得た情報は、職員間で共有してはじめて「連携しながら子どもたちを保育する」ことにつながります。
 
報告とは、経過や結果を知らせること。
連絡とは、情報を関係者に伝えること。
相談とは、自分で判断できないときに、情報を伝えてアドバイスをもらうこと。
 
小さなことでも伝える習慣をつけておくと、保育士同士のコミュニケーションにつながります。
 
 

保育中でも声をかけあう

 
日々の保育は、乳児クラスなどでの複数担任、クラス担任、加配担当保育士、フリー保育士など、さまざま保育士との連携で成り立っています。
子どもの姿は常に変化していくので、保育中の職員間の声のかけあいはとても大切です。
 
子どもの健康状態、泣いている理由、トラブル時の状況や対応方法、職員全体で褒めてあげたい姿の共有など、事後ではなくタイムリーに伝えあうことで、子どもにとってよりよい保育を行うことにつながります。
声をかけあうことで保育や子どもへの対応に支障がでないように、声をかけるタイミングや伝え方を工夫することも重要です。
 
 

コミュニケーションを取るときのポイント

 
ここまで、相手別のコミュニケーションについて解説しました。
ここからは保育士としてかかわるすべての人とのコミュニケーションに共通する項目についてお伝えいたします。
 
 

相手の話をしっかり聞く

 
コミュニケーションは冒頭でもお伝えしたとおり、自分から話しかけるだけの一方通行では成り立ちません。相手の話をしっかりと聞き、会話がキャッチボールになることを意識することが大切です。
子どもも大人も、自分の話を聴いてくれる人に安心感をもちます。
相手の話を上辺で「聞く」のではなく、共感的に「聴く」ことを心がけたり、途中で遮ったり、先回りして話しはじめたりせず、相手の言いたいことを最後まで聴きましょう。
 
相手の言いたいこと、伝えたいことをより深く引き出すことが、円滑なコミュニケーションにつながります。
 
 

相手に合わせて話す

 
コミュニケーションをとるときには、相手の表情や反応、自分との関係性や性格などを考慮し、相手に合わせて話すことが大切です。
 
会話のタイミングや間、聞き取りやすい声量とスピード、相手にとって分かりやすい言葉などを意識して話すことで、会話が相手にとって心地よいものになり、安心感を抱くことにつながるでしょう。
相手に合わせて話すことを心がけることで、相手が本質的に求めていることを引き出せるかもしれません。
 
 

相手の意見を受け入れる

 
コミュニケーションをとるなかで、自分と相手との考え方が合わないこともあるでしょう。
すべての考えを一緒にすることはできませんが、「事実」と「主観」を分けるなど柔軟に考えると、意外と「目指すゴールは同じで、解決手段が違うだけ」ということもあります。
頭ごなしに否定するのではなく、自分とは違う意見がある、という事実を理解しておくだけでも、視野が広がり多くの可能性を作りだすことができるでしょう。
 
 

コミュニケーション研修を行い、保育の質を向上させよう

 
人はそれぞれ自分の経験や主観により、考え方や視点、話や状況の捉え方などが大きく異なります。
 
子どもたちにとって、大切な人的環境のひとつを担っている保育士が、これらを意識してコミュニケーションをとるのととらないのとでは、保育の質は大きく変わってしまいます。
 
多くの人とかかわる機会がある保育士は、子どもを中心としてより積極的にコミュニケーションをとることが重要です。
苦手意識のある保育士も、理論的に考えてコミュニケーションをひとつの手段として実践することができれば、仕事のストレス軽減にもつながります。
そのためにも園内研修で具体的に学ぶことが大切です。
ぜひコミュニケーション研修を行い、保育の質を向上させていきましょう。
 
 
※記事内の「保育園」は、認定こども園や幼稚園なども含みます
 
 

 
 

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