【園内研修テーマ】アンガーマネジメントを行い保育の質を向上させよう

 
保育士の仕事はたくさんの人とのつながりによって成り立っています。
子ども、職員、保護者などをはじめとした人的環境のなかで、「人が育つ」場であり、人と人との深いかかわりあいがあります。
だからこそ互いの理想や願望など、価値観のすり合わせが必要な場面が多く、それらの難しさが「怒り」の感情を生むこともあるでしょう。
 
怒りの感情をコントロールするためのアンガーマネジメントをご存知でしょうか。
園内研修をとおしてアンガーマネジメントの基礎や役割を学ぶことで、保育士にとってよりよい人間関係を築くことができ、ひいては保育の質の向上にもつながるでしょう。
 
そこで今回は、アンガーマネジメントの基礎やポイントについて紹介いたします。
ぜひ園内研修の参考にしてみてください。
 
 

アンガーマネジメントとは

 
アンガーマネジメントは直訳すると「怒りの管理方法」です。
1970年代にアメリカではじまった、自分の怒り(アンガー)と上手に付き合う、管理する(マネジメント)ための心理トレーニングです。
アンガーマネジメントが目指すものは「怒らない」ことではなく、「上手に怒る」ことです。
 
保育士という仕事上たくさんの人とかかわるなかで、
「あんな言い方しなければよかった」
「なんでこんなにイライラしてしまうんだろう…」
など、怒りについて後悔することがある保育士の方もいるのではないでしょうか。
 
しかし、怒りの感情は決して悪いものではありません。
誰もが自然に持っている、危険から自分を身を守るために必要な感情です。
一番よくないことは、怒りの感情に支配されてしまったり、怒りの感情を抑え込んで向き合わなかったりすることです。
 
 

アンガーマネジメントの目的

 
アンガーマネジメントの目的は、「怒らないこと」ではなく、怒りの感情で後悔しないことです。
怒るべきときには上手に怒り、怒る必要のないときには怒らないようにするトレーニングをします。
「怒り」の感情とうまく付き合っていき「上手に怒る」ためには、感情の仕分けをし、「これは自分にとって怒る必要があるのか」という線引きをすることが必要です。
 
怒りの感情は、笑ったり泣いたりといった感情と同じように自然に湧きでてくるものです。自分の怒りの傾向を知り、怒りの感情を適切にコントロールできるようにアンガーマネジメントを身につけましょう。
 
 

アンガーマネジメント研修を実施するメリット

 
人と人とのかかわりが大切な保育士にとって、アンガーマネジメントは重要であるといえるでしょう。
ここでは保育士がアンカーマネジメントについて学ぶメリットについて解説いたします。
 
 

コミュニケーションが円滑になる

 
アンガーマネジメントを身につけ怒りの感情をコントロールできるようになると、怒るか怒らないかの感情の仕分けが自分でできるようになります。
その結果、怒りの感情による衝動的な言動を抑制することができ、円滑なコミュニケーションをはぐくむことにつながります。
 
・同じクラスを担当している保育士と保育観が合わず、ついイライラしてしまう
・業務量が多く、急な書類作成や保護者対応などに追われ、思うように仕事が進まずストレスが溜まる
 
保育士の仕事をしていると上記のような怒りの感情は発生してしまうことがあるのではないでしょうか。
その発生した怒りを態度や言動にだし、相手にぶつけてしまうことで、相手との関係性が悪くなるだけではなく、職場の雰囲気まで悪くしてしまいます。
アンガーマネジメントを身につけることでこうした状況を防ぎ、保育士間の連携強化にもつながります。
 
 

ストレスが減少する

 
怒りは自分にも相手にも強いストレスを与えます。
怒りの感情の仕分けができるようになれば、怒りの回数を減らすことができるでしょう。
また、怒りの感情に対する理解を深められるようになると、相手に怒りをぶつけられても、冷静に対応できるようになり、余計なストレスを抱えにくくなります。
 
 

仕事の生産性があがる

 
怒りの感情を適切にコントロールできるようになると、職員間のコミュニケーションの活性化につながります。そのため、保育士同士の連携がより取りやすくなったり、保育以外の業務でも集中力を維持しやすくなったりするため、仕事の生産性があがるといえます。
 
 

アンガーマネジメント研修の内容

 
保育士が学ぶアンガーマネジメントには、「保育士自身の怒りのコントロール」と、「子どもの怒りのコントロール」があります。
ここでは研修で伝えるべきアンガーマネジメントのポイントと、「子どもの怒りのコントロール」について紹介します。
 
 

アンガーマネジメントのポイント

 
アンガーマネジメントを実践するためには、いくつかのポイントを理解しておく必要があります。
なかでも実践しやすいポイントは以下の3つです。
自身の怒りに対し、冷静に対処することのメリットと合わせて研修で伝えていくとよいでしょう。
 
 

ポイント➀6秒ルール

 
怒りのピークはおよそ「6秒」といわれています。
この6秒の怒りのピークをいかにやり過ごすかが、アンガーマネジメントを身につけることにつながります。

怒りの感情は、瞬間的・反射的に発生することがほとんどです。そのため怒りを感じたら、心のなかで6秒カウントしてみましょう。
待つことで怒りがなくなるわけではありませんが、反射的な行動を防ぎ、理性的に対処するために冷静さを取り戻すことを目的としています。
単純に1、2、3と数える方法もありますが、より効果的な方法は6、5、4と逆算して数えることです。より数を数えることに意識を向けることができます。さらに深呼吸を加えるとより効果的といえるでしょう。
 
 

ポイント②怒りの原因から離れる

 
6秒ルールはすべての場面で効果的とはいえません。6秒ルールでも怒りをコントロールすることができないときには、怒りの原因が起こった場所から離れ、ほかの部屋に移動することも効果的です。
怒りの原因から気をそらすことができ、怒りを鎮めることができるでしょう。
 
しかし保育中は、その場から離れることが難しい場合が多いです。
ほかの部屋に移動することができないときには、目線をそらし別のことに意識を向けてみるとよいでしょう。
とくに子どもの言動で抑えられない怒りを感じた場合、ケガをする危険性があるケースをのぞき、反射的な怒りをぶつけることは保育士として褒められる行動ではありません。
怒りの原因となった言動にどのような理由があるのか確認し、適切な言葉を選んで対応するためには、やはりアンガーマネジメントが重要だといえるでしょう。
 
 

ポイント③自分の「~するべき」を知っておく

 
沸点が低いとされる人は、多くの場合、自分が「~するべき」と思う理想の状態や価値観にこだわりをもっています。
保育士でいえば、「今は静かにすべきなのに」「給食は残さず食べるべきなのに」といった思いから、感情的になってしまうケースもあるのではないでしょうか。
落ち着いて考えれば、どちらも感情的になってまで怒る必要がないことがわかります。
自分の「~するべき」を把握し、少しずつ許容範囲を広げていくことで自分のストレスも、理不尽に怒られる子どものストレスも軽減することができるでしょう。
 
あまりにも自分のこだわりが強い、多いと感じた場合には、なぜそう感じるのか振り返ったり、場合によってはカウンセリングなどでストレスの緩和をはかる必要があるかもしれません。
 
 

子どもの怒りをコントロールするには

タイムアウト

 
友だちとのトラブルなどで怒りが高まり、パニックになったり、興奮がなかなか収まらなかったりする子どもがいるときに、一緒にその場を離れることがあるでしょう。
アンガーマネジメントでは、このような「一旦その場を離れる」という怒りのコントロール方法のことを「タイムアウト」といいます。
 
タイムアウトの目的は、怒りの解消やトラブルの解決ではなく、リラックスさせたり、気持ちを切り替えさせたりすることです。
保育士がタイムアウトを知っていれば、子どもが怒りを感じる状況にずっと身を置かなくてもすむため、子どもたち自身の心を守ることができます。
 
タイムアウトを行う際には、「今は落ちついて話せないから、隣の部屋に行ってくるね。5分後に戻ってくるね。」など、その場を離れる理由と、戻ってくる時間を伝えることで、まわりの子どもたちも安心して待つことができるでしょう。
発達障害などでパニックを起こしやすい子どものために、こうしたタイムアウト専用の小部屋や、保育室の一角に隠れられるスペースを用意する事例も増えてきています。
 
 

タイムイン

 
「怒りを感じた場から離れる」という意味のタイムアウトに対し、怒りを感じている子どもに大人が寄り添い、子どもが感情の波を自分で乗り越えるためのサポートをする方法を「タイムイン」といいます。
 
すぐに正しい行動をさせようとせず、冷静になる時間を設ける、という意味ではタイムアウトと同じです。
アンガーマネジメントの視点では、トラブルの解決ではなく、「自分の気持ちに目を向ける」ためのサポートを重視するため、自分の気持ちを大切にすることで、子どもたちの自尊心や自己肯定感を培うことにつながります。
 
「次はその気持ちをどう伝えたらいいかな」など、子ども自身の気持ちを伝える方法や、また同じできごとが起こったときに、どうしたらいいかを一緒に考えることで、今後自分で感情のコントロールをするための練習になるでしょう。
 
 

怒りの感情と向き合って保育の質を向上させよう

 
今回は、アンガーマネジメントの効果や、園内研修で扱うメリットなどについて説明いたしました。
怒りはだれもが持つ感情だからこそ、それをどうコントロールするかが、自分自身の心の健康やパフォーマンス、生産性の向上につながっていきます。
 
また、怒りなどの感情がコントロールできるようになると、客観的にものごとを捉え、問題解決できるようになります。
アンガーマネジメントを学び、子どもとのかかわりや、保育士同士のコミュニケーションの質を高めていきましょう。
 
 

 
 

コドモンカレッジについて

 
コドモンカレッジでは、現場で働く保育者の資質や専門性向上を目的とした保育研修を毎月定期開催しております。保育の専門性を高めたい、学びを深めたいと考えている方はぜひライブ研修よりご参加ください。
 
ライブ研修>「感情処理によるセルフケアの仕組みとメリット~いつも元気でいるために~
 
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