子どもの経験を豊かにする保育環境~感性を育む具体的な取り組み~


保育所保育指針の改定に伴い、『子ども主体の保育』という言葉と共に、子どもの興味や意思を大切にした保育が注目されています。「なぜ主体性が必要なのか」など学術的な研修が保育団体や自治体等では多く実施されているなか、コドモンカレッジへは「子ども主体の保育の意義や理論について学ぶ機会はあるが、どのように保育園で実践すれば良いか分からない」というお声が寄せられました。

そこでコドモンカレッジでは、子どもの経験を豊かにする保育環境をテーマに、学校法人菊地学園の菊地 政隆先生に、保育の主体性や実際に菊地学園で取り組んでいる活動についてお話しいただきました。(見逃し配信はこちら

本ページでは、研修から抜粋した「保育の主体性」についてと、研修参加者から菊地先生への質問とその回答をご覧いただけます。

Q&A

菊地先生に、保育者の方からの質問へご回答いただきました。

【乳児クラスでの取り組みについて】

Q

乳児の主体性を育むために大切にしていることはありますか?

A

一人ひとりに寄り添った“ていねいな保育”です。 一人ひとりに寄り添う保育とは、子どもたちの心に寄り添うことで何を伝えたいのか、何に興味を持っているのか、心に寄り添ってもらった経験をすることで安心して過ごすことができます。乳児期の子どもたちの『やってみたい』という気持ちの芽生えこそが、こころを育む“ていねいな保育” に繋がっていきます。

Q

自己選択する経験をすることで主体性を持つことができるということですが、乳児クラスの中で自己選択ができる場面を作る工夫や環境設定のコツがあれば教えてください。

A

自己選択ができる場面を作る工夫や環境設定のコツは一概には言えませんが、日々の遊びから小さな自己選択は始まっています。
その子が今、どんな気持ちなのか、どんなことに興味があるのかを考え、様々な視点から、発達や月齢に合わせて遊びから生活へと繋がるよう玩具にもこだわりを 持っています。
視覚から楽しむ物、指先や手首の機能をいかした物、遊びから生活へ繋がる物、市販の物だと発達や月齢に合わせての微調整が難しいところを手作りで対応した物など…棚の中の玩具の配置もひと工夫することで子どもたちは手にとってみたくなる。そんなワクワクする環境は視覚から入ります。
とにかく保育室には、楽しい“しかけ”がいっぱいあると、子どもたちは夢中になって遊び込むことができます。
 
コーナー保育を設定することで、子どもたちは「どの遊びにしようかな」と迷うことや数ある玩具の中から「これで遊びたい」と“小さな自己選択”を積み重ねています。そうすることで、じっくりと遊べる環境やお友だちと一緒に遊ぶ空間が生まれ、自ら遊びを選択し、満足するまで遊びを楽しむこと、そして遊びを通して乳児期の子どもたちの育ち合いが育まれます。
保育の中の環境とは、物的環境・人的環境(心的環境)・自然環境があります。
コーナー保育を展開することだけではなく、常に子どもたちの姿を見逃さないこと、職員間でたくさん語り合うこと、そして各コーナーや玩具一つ一つにしっかりとねらいと意図があるということです。
子どもたちの育ち合う姿や様々な活動を通して”小さな自己選択”を積み重ねることが、“自ら考える力を育む”保育に繋がります。

見逃し配信のご案内


子どもの経験を豊かにする保育環境をテーマにしたオンライン研修「子どもの経験を豊かにする保育環境~感性を育む具体的な取り組み~」は、コドモンカレッジにて見逃し配信でご視聴いただけます。

研修では、「保育の主体性」について下記の4つの内容を詳しくご解説いただいております。

1.保育の主体性の基本
保育の主体性の基本はドラマを分かち合うこと。子どもとのドラマ、保護者とのドラマ。ドラマを演出できるのかということが保育の主体性において非常に大切です。

2.主体性はどちらから生まれるのか
自ら考えてやる保育とやらされている保育、主体性はどちらから生まれるのでしょうか?園の中で与えられてやらされている保育があるかもしれません。けれどその中から、自らさらに考えていくことによって主体性が生まれてくると考えています。

3.主体性をもった保育者になるために
主体性をもった保育者になるためには、目の前の子どもに合わせて保育を変えることが必要です。目の前の子どもに合わせて保育を変えていけるのか、変えられないのか。子どもの様子に気付いてあげられるか、あげられないかが大切なのです。

4.ごっこ遊びと主体性
・子どもたちの「したい」がかなう環境作り
・自分で考える時間をしっかり作る
・遊びが飽きずに継続するきっかけを作る
これらの3つの要素がごっこ遊びを行う際に大切になってきます。

主体性をもった保育は、人的環境である保育者の関わりからはじまります。
主体性をもった保育は主体性をもった保育者から。
そのことを念頭において楽しい保育を展開していってほしいと思います。
また、主体性のベースは子ども同士の関わり、つまり「そだちあい」です。
その「そだちあい」があることが「園の価値」であると考えています。

 
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今後もさまざまな研修を予定しております。
直近のライブ研修一覧はこちら>https://college.codmon.com/seminar/

コドモンカレッジについて


コドモンカレッジでは、現場で働く保育者の資質や専門性向上を目的とした保育研修を毎月定期開催しており、累計5,000名以上の方にご視聴いただいております。(2023年1月時点)
当日ご参加いただけない方でも、オンライン研修の見逃し配信や、いつでも好きな時間に学べる研修動画も公開しております。
https://college.codmon.com/

    
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