保育所における防災について~事前防災・災害発生時・発生後~

日々の保育の中で避難訓練は実施しているけれども、有事の際には冷静に対処できるだろうか。
備えはどの程度までしたらいいのだろう、と不安を感じることはないでしょうか。
万が一の災害発生時、災害発生後にどのように対処し、子どもたち、そして保育者の安全を確保するために事前の備えと訓練が必要です。

コドモンカレッジでは、救急救命士であり、事前防災から発生後の具体的な対応について、防災・減災教育などの普及に力を注いでいる国士舘大学防災・救急救助総合研究所 准教授 月ヶ瀬 恭子先生の「保育所における防災について~事前防災・災害発生時・発生後~」という研修を実施いたしました。

本ページでは、研修参加者から月ヶ瀬先生への質問とその回答をご覧いただけます。

Q&A


研修に参加した保育者からあがった質問について、月ヶ瀬先生にお答えいただきました。

Q

幼児の避難方法については研修で詳しくお話しいただいていましたが、乳児を複数人一緒に避難させるために保育者同士の具体的な連携方法について教えてください。

A

研修でもお話しした通り、発災時にこうすれば助かるという王道はありません。発災時にどこにいるのか、時間帯はいつなのか、保育者の出勤状況、季節などによっても対応は変わります。

ただ、基本的には保育者1人につき、最大3人の乳児を担当していると思います。3人の乳児を1人の保育者が抱えられるようなキャリーも市販されています。しかし、研修の中でもお話ししましたが、資機材は園にあれば良いのではなく使えなければ意味がありません。現実的に30kg以上の負荷をかけた状態で安全に避難できる体力はありますか?保育者の安全を確保しない限り、子どもたちを守ることはできません。

大切なのは、「自園で」「自園のための」BCPを含む防災に関するプランを作成し、そのプランをもとに普段からさまざまな状況を想定した訓練(「訓練」としての実施だけでなく、普段の活動で発災時をイメージして行動することも重要です)を行うことで職員間の連携ができるのではないでしょうか?

訓練を行う上で、プランが機能するのか否かを確認し、必要な改善を行うことで発災時に「連携して行動できる」ようになると考えます。
※BPC……事業継続計画(Business Continuity Plan)。緊急事態下において業務を継続できるような対策、戦略の計画書のこと。

Q

職員の日頃からの防災の意識の高め方・持ち方について、園長や主任から現場の先生に周知・浸透させるためにどのように対応すればよいでしょうか。

A

繰り返し言い伝えることだけでなく、研修や訓練(大規模でなくて構いません)の頻度を増やすこともひとつの方法です。日常保育業務と防災が実はつながっていることを気づかせてあげることも重要な要素のひとつでしょう。

例えば、朝の職員会議で園長先生から職員へ、「今日の子どもたちの点呼は『大きな声で、しっかり手を上げられるように」指導しましょう。これは災害発生時の避難後の点呼でもとても重要です』と意識的に伝えます。そうすると、やっていることは日常と何ら変わらないのですが、職員の意識を防災に傾けることができます。

また、よく「ほう・れん・そう」と言われる報告・連絡・相談についても、「情報」どのようにまとめ「共有」するのかを学ぶにはとても大事な要素です。情報共有能力は災害時に自分達の武器になります。

日頃からの良好な関係構築を意識しつつ、情報共有に関する研修も実施していくことが、日常業務をスムーズにし災害時対応能力の向上にもつながっていきます。

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