保育士を園外研修に参加させる際の注意点

近年、核家族化や共働き家庭の増加により、保育園による子育て支援の需要が高まっています。
保育園の役割や機能が多様化し、保育の質についてもより高く目指していくことが求められています。
専門性の向上のためにも、園内研修だけではなく、園外研修へ参加する必要性を感じている方もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、園外研修の意義や、保育士を園外研修に参加させる際のポイント、注意点について解説いたします。
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保育士の園外研修とは?
園外研修とは、字のとおり保育園の外で行われる研修のことです。
各保育園が加盟している団体や、公的機関、民間企業によって、保育士向けの研修が多く開催されています。
研修の種類も豊富で、専門家の話を聞いて学ぶ講義型のもの、グループワークやグループディスカッションのある参加型のもの、先進園の視察研修や、他園の公開保育、実技研修などさまざまです。
園外研修に参加することで、自園の抱える課題を解決するための手がかりを得たり、保育の視野を広げたりできます。
さらに、保育士一人ひとりが資質向上に努めることで、園全体の保育の質の向上につながることから、園外研修の需要は高いといえるでしょう。

保育士が園外研修を受ける目的
次に、保育士が園外研修を受ける目的やメリットについて解説します。
目的が明確になることで、どの研修を受講すべきか見えてくるでしょう。
目的①保育技能の向上
保育士はさまざま保育技能を駆使しながら日々の保育を展開しています。
手遊びや絵本の読み聞かせ、ピアノや打楽器の演奏のほか、コミュニケーションスキルなどの心理的技能も欠かせません。
これらの保育技能は養成校などでも学びますが、保育の現場に立つとすぐにマンネリ化してしまったり、技術が足りないと感じたりする場面がでてきます。
園外研修でこれらの保育技能を学ぶことで、新しい遊びや歌を仕入れたり、スキルアップをはかることが可能です。
保育技能のための園外研修は細分化されていることが多く、より自身の目的に合った研修を探しやすいといえるでしょう。
園外研修はこれらの技能の習得、維持および向上を図る目的があり、非常に大きな役割をもっています。
目的②専門知識の強化
乳幼児期の子どもの発達や、保護者支援にかんする専門知識を日々向上させていくことも、保育士の大切な仕事のひとつです。
とくに障害児保育やアレルギーについての情報、国の政策や法律などは数年で情報が更新されるため、園外研修に参加して自身の知識をアップデートする必要があります。
過去の常識が、現在は誤りであるといったケースも少なくありません。
園外研修には、経験年数を問わず保育士としての専門知識をたくわえる目的があるといえるでしょう。
目的③他園との交流や情報交換のため
それぞれの園によって、長年つちかってきた保育観や伝統行事など、さまざまな特色があります。
園外研修に参加し、他園の保育観や保育の展開、活動の工夫を知ることで保育士としての視野が広がり、新たな知識や技能を習得することができるでしょう。
自分たちの保育のよさに改めて気づいたり、自園の課題について考えたりする機会にもなるはずです。
また、違った環境で保育をする保育士同士が意見交換できる点も、園外研修のメリットのひとつです。
自身が勤める園だけではかかわる機会のない、さまざまな世代の保育士と意見を交わすことで、新たな学びを得ることができます。
同じような保育経験やキャリアを積んだ保育士同士だからこそ話せる、分かり合えることもあるでしょう。自分自身や自分が勤める園における課題の共有、悩みの相談、専門的な知識の学び合いを行いながら交流することで、新たな保育へのモチベーションにもつながります。
こういった交流のなかで日常的に保育士同士が主体的に学び合う姿勢と環境の大切さを体感することもできるでしょう。これらの経験が日頃から保育をブラッシュアップさせていく力へとつながります。
園外研修に保育士を参加させる際の注意点
では、園外研修に自園の保育士を参加させる場合、どのような点に注意する必要があるのでしょうか。
より有意義な研修にするためのポイントを解説していきます。
注意点①研修計画をたてる
スケジュールや人員に無理のないように計画的に研修を実施するため、施設長などの管理職員は、園の全体的な計画などを踏まえ具体的な研修計画を作成する必要があります。
保育士の学ぶ意欲を高められるように、保育士と一緒に組織的に作り上げていくことが大切です。
保育士の自己評価やライフステージに合わせた一人ひとりの研修計画や、園全体として保育の質の向上を見据えた研修計画を作成しましょう。
保育士がキャリアアップしていくための道筋であるキャリアパスについても、研修計画と合わせて確認していくとよいでしょう。
新人保育士から園長などの管理職まで、保育士同士が協力し、園全体で質の高い保育実践を目指していくことができるように、各保育士にバランスよく研修の機会を提供する必要があります。

注意点②研修時間の確保、シフト調整を行う
平日や土曜日など、開園日に保育士を研修に参加させる場合、研修に参加する保育士のポジションに代わりの保育士を配置する必要があります。
休日や勤務後に参加する場合でも、研修の代休には同様に代わりの保育士が必要です。
管理職やフリー保育士であれば代替が必要ない場合もありますが、クラス担任の役割の保育士の場合は必ず代替職員が必要になります。
そのため、研修に参加する保育士がいる日は、保育に支障がでないよう、園全体を見て人員が足りているかを把握し、代替となる保育士を配置するなど、勤務体制の調整や工夫を行うことが求められます。
園行事や保育士の出張業務、休暇、年間の研修スケジュールなどをもとに、保育士のシフト調整を行うことが大切です。
年度はじめにこれらをふまえた大まかな年間計画を立てておくことで、余裕をもって保育士を配置することが可能になり、保育士の人員が足りないといった体制の都合で研修に参加できなくなるというトラブルを減らすことができるでしょう。
注意点③研修終了後に内容の報告と共有をしてもらう
園外研修に参加するときに計画書や報告書を使用することで、研修を受ける目的や内容を可視化することができます。
目的や課題を明確化することで、主体性をもって研修に参加することができるでしょう。
園外研修での学びは、参加した保育士個人の専門性を向上させることはもちろん、フィードバックすることで、園全体の保育実践の質や専門性の向上につなげることができます。
園外研修に参加した保育士が研修で得た知識や技能をほかの保育士に共有する機会をつくり、研修の成果を効果的に園全体の保育実践につなげられるように工夫しましょう。
口頭での情報共有が難しい場合は、研修報告書をとおして情報を共有することもできます。研修に参加した保育士にとっても研修内容を言語化することで、自身の学びの定着にもつながるでしょう。
注意点④参加者の服装や持ち物の確認
園外研修は、園の代表として保育技術や知識を学び、その学びを園に持ち帰るための研修です。
研修計画を立てて保育士をさまざまな研修に参加させることができても、参加した保育士が適切な行動をとっていなかった場合、園の評価を下げてしまうかもしれません。
園外研修への参加にあたって、服装や身だしなみは適切であるか、持ち物は事前に準備できているかといった確認事項を職員全体で共有しておけると安心です。
常識だろう、わかっているだろうという考えではなく、全員がわかるような方法で伝えられるような工夫が必要です。

定期的に研修を受講させることが重要
報告書などを使用し、研修の内容や成果を可視化しても、主体的に受けることができなければ学びの定着にはならず、ただ研修を受けただけで終わってしまいます。
主体性をもって研修を受講するためには、1回だけではなく、定期的に研修を受講したり、1度受けた分野の研修でも再度参加したりすることが効果的です。
園外研修を受けて学んだ内容を、園内で実施し、そのなかで新たに生じた課題や疑問点を、次回の研修の目的意識につなげたり、実践報告や検討を行ったりすることで、園外研修での学びをより具体的な保育の質の向上につなげることができるでしょう。
まとめ
2018年4月1日から施工された新保育所保育指針の改定のポイントのひとつとして、「職場の研修体制の強化」があげられています。
園長が中心となり、職場全体の実践力を高めていくことの重要性と、「キャリアパス」の重要性が、新しく取り上げられました。
今後ますます求められる保育士の質の向上のためにも、園内だけではなく、園外研修にも積極的に参加する必要性があるでしょう。
保育士を園外研修に参加させる際には、研修計画をもとに、人員調整と園内での情報共有の機会をつくることが大切です。園外研修を保育の質の向上に役立てるためにも研修計画をたてましょう。

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