【例文あり】保育士の電話対応のポイント

保育士は子どもの保育以外にもさまざまな業務を抱えています。
そのなかのひとつが、電話対応です。
保護者からの欠席・遅刻の連絡、保育中のケガや熱によるお迎えの依頼、行政や関係機関とのやりとりなど、保育士が電話対応する場面は多くあります。
電話対応について学ぶ機会のないまま実践にのぞまなければならず、緊張した経験のある方も多いでしょう。
では、保育士に求められる電話対応とはどのようなものでしょうか。
今回は基本となる電話対応のポイント4点と、保育士ならではの電話対応の場面を例文つきでお伝えいたします。
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基本の電話対応4つのポイント
保育士に限らず、社会人として知っておきたい電話対応のポイントを紹介いたします。
なるべく3コール以内にとる
一般的な電話対応マナーとして浸透しているのが、「電話は3コール以内にとる」というものです。とはいえ、保育業務中は忙しいことも多いでしょう。
事務員や職員室での待機職員がいない場合は、当然子どもが優先になります。
電話の繋がりにくい時間帯を保護者が周知している園もあるでしょう。
保育園には、保護者以外に行政や業者からの電話もかかってきます。
対外的な意味でも、およそ5コール以上待たせてしまったときには、電話にでた際に「お待たせして申し訳ありません」と一言添えると印象が大きく変わります。
声のトーンをあげる
電話は相手の表情が見えないため、声の大きさやトーン、話し方などから印象が決まります。
意識して声のトーンをあげることで、明るい印象になるだけでなく、聞き取りやすさもアップします。
子どものいる保育室で電話対応すると、雑音が多く聞き取りにくくなりがちです。ゆっくりはっきり話すことで聞き取りやすくなります。
部屋を移動できる場合は子どもの声が聞こえない場所に移動してから話すようにするといいでしょう。
メモをとる
電話対応に慣れていない場合は、電話をとるだけで緊張してしまいます。
電話を置いた瞬間に聞いた内容を忘れてしまうケースも少なくありません。
確実に内容を記録するためにも、下記の点については必ず伺い、メモを残すようにしましょう。
・相手の施設名、氏名
・要件を伝えたい相手(園長、年長クラスの担任などの氏名があれば記載)
・要件
・折り返しを希望された場合、電話番号と対応可能な日時も確認する
相手の声がうまく聞き取れないこともあるでしょう。
しかし、氏名や連絡先があやふやになってしまうことは絶対に避けなくてはなりません。
聞き取れなかったときには「もう一度お伺いしてもよろしいでしょうか」と再度確認します。
また、電話の最後に「確認させていただきます。○○様。ご連絡先は○×○-○○○○-××××でよろしいでしょうか」と復唱するようにしましょう。
要件によっては自分では返答できないこともあるでしょう。その場合はしっかりと要件をメモに残し、折り返し返答する旨を伝えます。
曖昧な返事をしてしまうと、後々トラブルになる場合もありますので注意が必要です。
言葉遣い、保育士の呼び方に気をつける
電話対応では相手の顔が見えないため、言葉づかいには十分注意が必要です。
「ですます」調で話し、相手が不快にならない丁寧な言葉選びを心がけましょう。言葉選びで特に気をつけるポイントは、「自園の保育士の呼び方」です。
園外の方と話す場合、基本的に自分の園の保育士には「先生」などの敬称はつけません。
たとえば、「○○先生に確認しておきます」「園長先生に伝えておきます」という場合、正しくは「○○に確認しておきます」「園長に伝えておきます」になります。
ただし上記はあくまで一般的なビジネス社会における呼称のマナーです。行政や企業など、外部の方からの電話対応で意識するとよいでしょう。
保育園によって、呼び方についての方針はさまざまです。
電話での保育士の呼び方については、勤めている保育園に一度確認しておくと安心ですね。
こんなときはどうする?
電話対応で戸惑いやすい2つの場面と、対処法をお伝えします。
電話を取り次ぐとき
まずは、「担当保育士に取り次いでほしい」「園長先生は対応可能ですか?」など、受けた電話をほかの保育士や園長に取り次ぐ場合のポイントです。
取り次ぐときは必ず保留にする
取り次ぐ相手がすぐ近くにいる場合でも、必ず一度保留にしましょう。
予期せぬ雑音や会話が相手に聞こえてしまうことを防ぐためです。
誰からの電話で、どのような要件なのかを伝える
たとえば「○○組の〇〇(氏名)ちゃんのお母さまからお電話です」「支援センターの〇〇さんから、訪問日程についてのお電話です」など、電話の相手や要件がわかるように伝えましょう。
記事の後半では、担当者が不在で折り返す場合の例文も紹介していますので参考にしてみてください。
声が聞こえないとき
電話対応中に音声が聞こえなくなってしまった、または聞き取りにくい場合の対処法です。
最初に所属と名前を確認する
電話を受けたら、最初に所属と名前を確認しておくようにしましょう。もし電話が途中で切れたり聞こえなくなったりしても、所属先の電話番号がわかっていれば、こちらから折り返すことが可能になります。
また、再度電話がきた場合に同じ方だと分かれば「先ほどは大変失礼いたしました」と謝罪の言葉を伝えられます。
まったく聞こえない場合は断わりを入れて電話を切る
ますは「電波が悪いようですが、こちらの音声は届いておりますでしょうか」と尋ねてみましょう。
そのうえで、やはり聞き取りにくい、もしくは無音の場合には「申し訳ございませんが音声が届いていないようなので、一度切らせていただきます」とひと言添えてから電話を切るようにします。
こちらが無音でも相手には音声が届いている可能性を考慮しましょう。
また、再度同じ方から折り返しの電話があったときには「先ほどは音声が届いておらず、切らせて頂きました。申し訳ありませんでした」と一言添えると印象がよくなります。
相手が分かる場合にはこちらからかけ直す
途中まで聞こえていた、聞き取りにくいが誰かは分かる、ナンバーディスプレイなどにより保護者の連絡先だとわかる、などの場合、こちらからかけ直すという方法もあります。
かけ直すことで電話状況が改善される可能性もあります。それでも聞き取りにくい場合いは前述のとおり、断わりを入れてから電話を切りましょう。
ほかの保育士に音声トラブルがあったことを伝える
自分が電話対応できる場所から離れるときには「先ほど、電話が遠くて切らせてもらった方がいる。再度折り返しの電話がかかってくるかもしれない」とほかの保育士に伝えましょう。
情報共有しておくことで、折り返しがあった際にも、スムーズに対応できます。
【場面別】電話対応の例文
ここからは例文を使って、場面別に電話対応の詳細を確認していきましょう。
場面①保護者からの欠席連絡
保育士:おはようございます。○○保育園○○(自分の氏名)です。
保護者:おはようございます。○○組の○○××(子どもの氏名)の母です。
保育士:○○ちゃんのお母さんですね。どうされましたか?
保護者:昨夜から熱があって…今朝は下がってはいるのですが、いつもより元気もないので病院に行こうと思います。なので、本日はお休みさせます。
保育士:そうだったんですね、お休みの件、承知しました。
お熱、辛いですね。昨夜からとのことですが、お熱はどれくらいまで上がりましたか?
保護者:昨夜は夜中38.4℃まで上がりました。さすがに寝苦しかったのか何度か起きていて、体が熱いなと思って熱を測ったら38℃を越えていて…。
保育士:あまり寝られていないんですね…。食欲などはどうですか?
保護者:今朝は少し食欲も落ちていて…食べやすいものをすこし食べています。
保育士:そうでしたか、お母さんも看病お疲れ様です。実は今、ほかのクラスで嘔吐下痢が出ていまして、お熱以外にも便のようすも一緒に気にかけてもらえるとよいかもしれません。病院を受診しましたら、また状況をお知らせいただけると助かります。
保護者:そんなんですね。わかりました。
保育士:いろいろ教えてくださりありがとうございます。お大事にしてくださいね。
保護者:ありがとうございます。失礼します。
保育士:はい。では失礼いたします。
(※保護者が電話を切ったのを確認してから自分も電話を切る)
場面②園外の方から園長への電話
保育士:こんにちは。○○保育園○○(自分の氏名)です。
役所職員:お世話になっております。○○区役所、保育サービス課○○と申します。保育士研修の件でお電話いたしました。○○園長先生はいらっしゃいますでしょうか。
保育士:お世話になっております。保育サービス課の〇〇様ですね。ただいま園長の〇〇に取り次ぎますので、少々お待ちいただいてもよろしいでしょうか。
役所職員:はい。よろしくお願いいたします。
保育士:少々お待ちください。
→園長が在籍の場合
(電話を保留にし、園長に電話の相手の所属とお名前、要件を伝えて引き継ぐ)
→園長が不在の場合
(保留を解除する)
保育士:お待たせして申し訳ありません。本日、園長は外出しております。明日になりますが、こちらから折り返しさせていただいてよろしいでしょうか。
役所職員:ありがとうございます。では、お願いしてもよろしいでしょうか。
保育士:承知いたしました。恐れ入りますが確認のため、もう一度、所属とお名前とご連絡先をお伺いしてもよろしいでしょうか。
役所職員:はい。○○区役所、保育サービス課○○と申します。連絡先は000-0000-0000になります。
保育士:承知いたしました。復唱させていただきます。○○区役所、保育サービス課○○様で、ご連絡先は000-0000-0000でよろしいでしょうか。
役所職員:はい。大丈夫です。
保育士:ご用件は保育士研修についてですね。明日、折り返すにあたって、ご都合の悪い時間帯などはありますでしょうか。
役所職員:終日大丈夫ですが、午前中ですと少しお待たせしてしまうことがあるかもしれません。
保育士:承知しました。時間帯につきましても園長に申し伝えます。では、明日園長より折り返しさせていただきます。よろしくお願いいたします。
役所職員:よろしくお願いいたします。失礼いたします。
保育士:失礼いたします。
(※相手が電話を切ったのを確認してから自分も電話を切る)
電話対応は経験が大切です
働きはじめてすぐは、電話が鳴ると緊張してしまうかもしれません。
一度失敗してしまうと、電話を取るのが怖くなることもあるでしょう。
そんなときは。まず先輩保育士の電話対応をよく聞いてみることをおすすめします。今回学んだ電話対応のポイントと重ねながら聞くことで、より具体的な受け答えがイメージできるはずです。
最初から上手に電話対応ができる保育士はいません。繰り返しさまざまな場面で電話対応の経験を積んでいくことが大切です。まずは肩の力を抜いて、相手が話しやすい雰囲気作りから始められるといいですね。
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