【園内研修テーマ】保護者とのトラブル対応

 
保育士として働いていくうえで、保護者と考えが行き違いになってしまう場面もあるでしょう。
とくに新人保育士は保護者とのやりとりに不慣れなので、ちょっとした言い方や考え方の違いでトラブルへと発展してしまうことがあります。
しかしトラブルが起きた際の対応方法をあらかじめ知っておけば、落ち着いて対応することが可能です。
 
この記事では、園内研修で「保護者とのトラブル対応」をテーマにした際に、伝えておきたいことについてまとめています。
保護者とトラブルが起きてしまう要因や、トラブルが起きてしまった場合の対応方法について解説していますので参考にしてくださいね。
十分に理解を深めたうえで園内研修を行い、新人保育士が安心して保護者と向き合えるようにサポートしていきましょう。
 
 

なぜ保護者とトラブルが起きてしまうのか

 
保護者と保育士間でのトラブルは、どこの保育園でも一度は発生したことのあるトラブルのひとつです。ひとたびトラブルが起きると解決が難しく、保護者との関係性も悪化してしまうため、未然に防ぐ術を身につけることが望ましいでしょう。
園内研修で保護者とトラブルが起きてしまう要因について学んでおくことで、トラブルそのものを避けることができるようになります。
ここでは保育園においてトラブルになりやすいいくつかの要因についてご紹介します。
 
 

要因➀保育士との信頼関係が築けていない

 
保護者とトラブルになる大きな要因のひとつとして「保育士との信頼関係が築けていない」ことが挙げられます。
信頼関係ができていると、日頃保護者が感じる不安や疑問を、気軽に保育士に相談することができるため、トラブルには発展しにくいといえるでしょう。
不要なトラブルを回避するためには保護者との信頼関係は不可欠であり、それは日々の積み重ねのなかで作られていくものだということを心に留めておく必要があります。
 
 

要因②周りに悩みを相談できる人がいない

 
トラブルが起きてしまう要因として「周りに悩みを相談できる人がいない」という社会的な要因もあるでしょう。
各家族化が進み、近隣の人とのかかわりも希薄になった現代社会では、多くの母親がひとりで家事や育児を担い、誰にも相談できないなかで悩みやストレスを抱え込んでいます。
こうした状況に保護者が置かれていることで、不安をぶつける相手が保育園にしかない、否定的感情でしか発散できない心理的状況にあるかもしれない、ということを頭にいれておくようにしましょう。
 
 

トラブルの種類と事例

 
トラブル発生の要因を取り除いても、思わぬ理由でクレームに発生するケースも少なくありません。保育士にとっては理解しがたい内容でも、保護者は真剣に考えています。
 
ここでは実際のトラブル事例をいくつか紹介していきます。
園内研修でどんな種類のクレームやトラブルがあるのかを学んでおくことで、突然のトラブルにも冷静に対処できるでしょう。
 
 

種類➀子どものけがについてのトラブル

 
【事例】落ちても骨折しないよう鉄棒の下にマットを敷いていたが、ひじがマットにこすれてしまい、すり傷ができてしまった。
 
保育士にとっては「成長に必要な運動の過程でできた」ちょっとしたかすり傷でも、保護者によっては「保育園でケガをさせられた」と感じる方もいます。
 
 

種類②友だち関係についてのトラブル

 
【事例】家で毎日「○○くんが悪口を言う」と子どもが話しているので一緒に遊ばせないでほしい、と訴えてくる。
 
保育士が状況を説明しても、相手の子どもが悪いと決めつけ、子ども同士のかかわりをなくすよう求めてくる方もいます。
 
 

種類③行事についてのトラブル

 
【事例】発表会の配役を決める際に「自分の子どもを主役にしてほしい」と訴えてくる。
 
保護者にとって我が子の存在は特別であり「集団のなかのひとり」といった意識は薄いため、行事で目立たせてほしい、と考える方もいます。
 
 

トラブルの初期対応手順

 
園内研修でさまざまな種類のクレームやトラブルの事例を聞き、今後自分に同じことが起こるのではと懸念する保育士もいるでしょう。
トラブルが発生したとき、クレームを受けたときの初期対応手順も合わせて園内研修で取り入れることで保育士一人ひとりの対応力がアップし、保護者との行き違いや上司への報告漏れを防ぐことができます。
 
 

手順➀まずは保護者の話をすべて聞く

 
保護者が不満を伝えてきたら、まずは話に耳を傾けることが大切です。
クレームは一見「保育園や保育士が悪い」といった【怒り】に見えますが、実は子どものことを想った【不安】である場合がほとんどです。
その点を理解したうえで、保護者が本当に訴えたいことを理解できるように話を聞きましょう。
 
相づちを打ちながら話を聞き、保護者の言葉を繰り返したり、言い換えたりしながら「そう思われたのですね」と受けとめます。
わかってもらえた、と感じてはじめて保育士の話にも耳を傾けてくれるようになるでしょう。
 
 

手順②解決すべき問題、保護者の要望を確認する

 
話をすべて聞いたからといって、保護者の気持ちを理解したつもりになってはいけません。
人の気持ちは複雑で、言葉で表しきれないことも多々あります。
また受け手側の保育士も、保護者の気持ちを一度ですべて理解できるかといえば、それは難しい問題です。
それで問題点と要望を、言葉や文章にして確認する必要があります。
保護者の話を聞いたうえでなにが問題なのか、保育園や保育士になにをしてほしいと思っているのかを聞くように心がけましょう。
 
たとえば前述の事例にたいしては以下のような聞き方をしてみるといいでしょう。
 
「○○くんとケンカが多いので、一緒に遊ばせないでほしい、ということですね」
「劇で主役ができるように役割を替えてほしい、ということでよろしいですか?」
 
はっきり言葉にされることで、保護者が自分の言っていることの理不尽さに気づき、「そこまでしてほしいというわけでは…」と考え直すケースもあります。
また、「いや、そういうことじゃなくて…」と言われることもあるでしょう。その際はもう一度保護者の話をよく聞き、本当に望んでいることはなにか、しっかり確認していきましょう。
 
 

手順③解決策、代替え案を提案する

 
保護者の要望を理解したうえで、その要望を叶えられるのかを検討します。
叶えられない場合は代替え案を提案したり、双方が納得のいく解決策を探っていく必要があります。
 
保護者と保育園、そしてなにより子どもにとって最適な解決策を考えましょう。
保護者も保育園も「子どもを大切にしたい」という気持ちは共通しているはずなので、子どもを話の中心におくことで、前向きな話し合いをすることができるといえます。
 
園内研修では、ワーク形式で実際に保育士役と保護者役に別れてやりとりすることをおすすめします。
相手の言葉を引き出す術についても学べると、より充実した内容になるでしょう。
 
 

トラブル対応のポイント

 
最後に、対応手順を実践する際に気をつけたいポイントについて紹介します。
正しい手順を踏んでいても、保育士のちょっとした言動が保護者により不快な思いをさせてしまう場合もあります。
園内研修で以下のポイントについて周知しておくことで、トラブルを最小限に抑え、早期解決を目指すことができるでしょう。
 
 

ポイント➀ひとりで解決しようとしない

 
保護者からクレームを受けたら、まず園長や主任、先輩保育士に報告するように指導します。
「自分で解決できる」と思っても、ひとりで抱え込んではいけません。
問題の内容によっては主任保育士や園長が対応すべきこともあります。保育園によってはトラブルやクレームはすべて主任保育士が窓口となっている場合もあるでしょう。
誰がどのように対応するかを決めるのは、保育園の方針を熟知した園長や主任保育士の仕事です。
問題が大きくなった段階で、園長や主任保育士が「知りませんでした」ということがあっては、保護者との信頼関係に関わります。
クレームを受けた際には、真っ先に園長や主任保育士へ報告をし、その後の対応方法を相談するようにしましょう。
 
 

ポイント②過度な謝罪や安易な回答はしない

 
直接クレームを受けた際には、過度な謝罪をしたり、安易な回答をしないように気をつけましょう。
保護者から否定的な言葉を受け取った直後は、戸惑いや焦りを感じ、緊張した状態になるため、つい何度も「申し訳ございません」と言ってしまいがちです。
過度な謝罪は保護者に「やっぱり保育園が間違っているんだ」という印象を与えてしまい、その後の信頼関係の構築が難しくなってしまいます。
保護者を不快にさせたことは謝罪しつつ、クレームの内容に関しては「確認でき次第すぐにご返答いたします」と伝え、その場で回答しないことがポイントです。
 
 

ポイント③否定、反論はしない

 
保護者の話を聞いて、「それは違う」「絶対にわたしのほうが正しい」と思っても、否定や反論をしてはいけません。
大切なのは【どちらが正しいか】ではなく【保護者といかに分かり合えるか】ということです。
正確な情報を伝える姿勢はもつべきですが、言葉選びや態度などに気をつける必要があるでしょう。とくに、以下の言葉はNGワードとして覚えておきましょう。
 
 

保護者からのクレーム対応における【NGワード】

 
・でも
・ですが
・しかし
・けれでも
・そうは言っても
 
これらの言葉を使用することで保護者は否定されていると感じ、そのあとに続く言葉に耳を傾けてくれなくなります。
反論はせず、保護者の意見を受けとめることが大切です。
 
 

適切なトラブル対応を学ぶことで自分を守りましょう

 
今回は保護者とのトラブルが発生した際の対処法や、トラブルの要因について紹介しました。
トラブル解決のために具体的な事例を知る必要がありますが、園内研修で保護者とのトラブルの実態を知ることで、新人保育士がトラブルを恐れ、自ら話しかけていく勇気を失ってしまう可能性もあるでしょう。
研修内では先輩保育士がいつも見守っていることを伝え、安心して保護者とかかわりをもっていけるよう働きかけていきたいですね。

園内研修で保護者とのトラブル対応について学ぶことで、保育士一人ひとりのスキルアップをのぞめるだけでなく、保育士を守ることにもつながります。
問題が複雑化する前に早期解決へと導くことで、保育園と保護者の信頼関係を守ることも可能です。
この記事を参考に、要点を抑えて園内研修を実施し、保護者とのトラブルの適切な対処法を学びましょう。
 
 
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見逃し配信>「新卒保育士に求められるマナーとは?~接遇マナー5原則を理解しよう~
見逃し配信>「信頼される保育者になるためには~保護者とのコミュニケーション~
 
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