新人保育士向けの接遇マナー研修とは?信頼される保育士になろう

 
保育士の新人研修で「接遇マナー」を導入する保育園が増えてきました。
ただでさえ伝えることの多い新人研修で、なぜ「接遇マナー」が重要視されているのでしょうか。
 
今回は、新人保育士に必要な「接遇マナー」の種類と、研修での伝え方のポイントを解説します。ぜひ、新人研修を行う際にお役立てください。
 

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接遇マナーとは

 
「接遇」とは、思いやりの心を持って相手に接することを指します。
たとえば販売業で、マニュアルに沿った挨拶やレジ打ちをこなすことが「接客」だとすると、一人ひとりのお客様の様子に応じて声かけなどの配慮をすることが「接遇」となります。
相手によって態度を変えるということではなく、一定のマナーを守って接したうえで、さらに個々に応じた気配りと配慮を重ねるイメージです。
近年、「接遇マナー」が医療や介護、保育業界でも求められるようになってきました。
 

なぜ保育士に接遇マナーが必要なのか

 
保育士は、子どもによりよい保育を提供するために保護者や外部施設の職員と円滑な人間関係を築く必要があります。
保護者や外部施設、地域の方にとって、「保育園の印象」は「保育士の言動」で決まります。
保育士一人ひとりが安心や信頼を獲得できるようなふるまいをするためにも「接遇マナー」を身につけることが重要です。
 
そういった理由から保育士の新人研修で、「接遇マナー」を教える保育園が増えているのです。
 

接遇マナーの種類と研修でのポイント

 
ここからは実際に保育現場で必要な接遇マナーの解説と、新人研修で伝える際のポイントをお伝えしていきます。
 

基本のビジネスマナー

 
接遇マナーの基礎となる、社会人として人に接するときに必要なマナーです。
 

①あいさつ、笑顔

 
新人研修では、あいさつや笑顔の大切さについて伝えましょう。
相手の印象が大きく変わるポイントのひとつです。比較対象があるとわかりやすいので、「目線を合わせて笑顔であいさつ」「目線を合わせず小さなあいさつ」など、どのような印象を持つか実際にやってみるとよいでしょう。
 

②身だしなみ

 
身だしなみはあいさつ以上に人の印象を左右するといえるでしょう。
以下に主要となるポイントをまとめていますので、参考にしてみてください。
 
髪の毛はまとめる
とくに前髪が長くなり顔にかかると、表情が見えにくくなり暗い印象をもたれやすくなります。目元が隠れないような髪型を意識するとよいでしょう。
後ろ髪も保育の邪魔になる可能性がありますので、ヘアゴムなどでまとめるように伝えましょう。
 
子どもの安全を考えた服装にする
子どもは予期せぬ動きをするものです。子どもの安全を守るためにも、動きやすい服装を心がけましょう。
パーカーのひもやフード、ダメージジーンズなど穴が空いていて子どもの手が引っかかってしまうような服装は安全面が保証できないためおすすめできません。
新人研修では「おしゃれはNG」という伝え方ではなく「機能的にNG、危険がある」と伝えることで理解を得やすくなるでしょう。
また、キャラクターものの禁止、エプロンに指定があるなど、保育園で服装のルールがある場合は事前準備に影響しますので新人研修よりはやく伝えてあげましょう。
 
香水や香りが強い柔軟剤は避ける
子どものなかには「感覚過敏」を持ち、匂いにとても敏感な子どもがいます。香水や匂いが苦手で、激しいかんしゃくを起こす場合もあるのです。近年「香害」「化学物質過敏症」など、大人でもくしゃみや頭痛を発症するケースが増えています。
保育士は人と接し、子どもと触れ合う仕事ですので、相手に不快な思いをしないような配慮をしましょう。
 

 

③言葉づかい

 
これまで学生として生活してきた新人保育士にとって、重要なポイントとなるのが言葉づかいです。
まずは基本の敬語を使えるだけでも印象が大きく変わります。信頼される保育士になるためにも、以下のポイントを伝えておくとよいでしょう。
 

敬語の基本

 
敬語には3つの種類があります。保育の現場でよく使うフレーズとして伝えるとわかりやすくなるでしょう。
新人研修では保育士役と保護者役に分かれて実際に会話することで理解が深まります。
 

■尊敬語
目上の人など、相手の言動について表現する場合に使う敬語です。
例:おっしゃる、ご覧になる、~なさる、~される
 
✕「もう一度行ってくれますか?」
〇「もう一度おっしゃっていただけますか?」 
 
■謙譲語
自分自身の行為についてへりくだった表現をする場合に使う敬語です。
例:申し上げる、拝見する、うかがう、~いたします
 
✕「では○○先生に言っておきます」
〇「では○○先生に申し伝えます」
 
■丁寧語
です・ますをつけた丁寧な話し方です。
 
✕「こちらが資料になります」
〇「こちらが資料です(もしくはございます)」
 
若者言葉はできるだけ避ける
若者世代に限りませんが、「マジ」「ヤバい」「すごくない」など、若者言葉が出てしまうことがあります。
新人研修では、保護者や子どもは友だちではないということを念頭に置くよう伝えるとよいでしょう。保育士の言葉が子どもに与える影響は大きいです。できるだけ丁寧な言葉で保育にのぞめるよう、指導にあたる保育士も普段から意識しておくと安心です。
 

電話対応

 
欠席連絡を受けたり、熱でお迎えを要請したりと、保育士は多くの場面で電話対応をする必要があります。
電話対応の上達には経験が欠かせません。新人保育士もすぐに対応できるよう、新人研修で丁寧に伝えていきましょう。
こちらも実践形式で電話対応のシミュレーションをすることをおすすめします。
以下に電話対応のポイントをまとめました。
  
なるべく3コール以内にとる
保育中など、電話に出ることが難しい時間帯もありますが、できるだけ3コール以内で出ることが理想です。
3コールで取れない場合は、電話に出た際に「お待たせしました」と一言前置きすると印象が違います。
 
声のトーンをあげる

電話で話すときは、相手の表情が見えません。声のトーンを少し上げ、普段より明るくはっきりした声・話し方を意識しましょう。
 
メモをとる
多くの保育園では、電話の近くにメモ用紙が置かれているはずです。受話器を取ったらまずメモとペンを手元に置くようにします。
電話の内容を間違いなく引き継ぐためにも、以下の点を必ず聞くようにしましょう。
 
・相手の所属と名前
・要件
・日付、時間
 
また、電話の相手が名指しした保育士が不在、もしくは対応できない状況の場合もあります。
その際は「折り返しをするかどうか」も聞きましょう。
折り返しが必要な場合、さらに以下の点を確認します。
 
・電話番号
・対応可能な日時
 
電話対応については詳しい記事がありますので、参考にしてください。

 

守秘義務

 
新人研修で確認しておきたい重要な項目のひとつが、守秘義務についてです。
児童福祉法第18条には「保育士は、正当な理由がなく、その業務に関して知り得た人の秘密を漏らしてはならない。保育士でなくなった後においても、同様とする。」と記載があります。
 
たとえば、通勤バス・電車のなかで子どもの氏名が載ったおたよりの確認をする、同僚とカフェで子どものことを相談する、といった行為も個人情報の漏えいにつながります。
個人情報を守るための適切な行動ができるよう伝えておくとよいでしょう。
 

保護者対応

 
近年、保育園を利用する家庭の状況はいっそう複雑化しています。保護者の子育て観や家庭の事情もさまざまです。
保護者対応に慣れていない新人保育士は、どのようにかかわるべきか、対応が間違っていないか不安になることも多いでしょう。
新人研修では、保護者対応についてもできるだけ具体的に伝えておく必要があります。
ここでは、連絡帳と登降園の2つの場面での接遇マナーについて紹介します。
 
連絡帳でのポイント
連絡帳は文面でのやりとりになるため、表情や声色が伝わりません。ニュアンスがうまく伝わらなかったり、間違って捉えられてしまいトラブルに発展するケースもあります。
忙しいなか記入することが多い連絡帳ですが、接遇マナーの一環として以下の注意点を伝えておくとよいでしょう。
 
■だれが見てもわかる文章を心がける
連絡帳は普段保育園の送迎をしていない保護者や、代理で入った保育士などさまざまな人が目にします。だれが見ても内容が理解できるよう「だれが、いつ、どこで、なにを、どうした」といった基本の構成を忘れないようにしましょう。
連絡帳に限らず、日誌やおたよりでも同様のことがいえます。
 
相談や質問にはすぐに回答する
連絡帳に相談や質問が書かれていた場合、必ず返事となる文章を記入するようにします。
新人保育士は自分の判断で回答せず、先輩保育士に確認をとる流れを作るとよいでしょう。
あとからクレームに発展するなどのトラブルを避けることができます。
すぐに回答できない内容の場合は「園長に確認しますので、後日改めて回答させていただきます」などの断わり文を記入しましょう。
 
■気になることは伝え方を工夫する
「できなかった」「集団生活が難しい」ことも伝えなければいけない場合があります。保護者は保育士の言葉に敏感です。否定的な言葉ではなくやわらかい言葉を選んだり、具体的にどうすればよいのか解決策まで書いておくと接遇マナーができているといえるでしょう。
 
✕「食事中座っていられません。おうちではどうですか?」
〇「食事中、興味のあるものを見つけると立っていき、指差しで教えてくれます。とてもかわいいのですが、今は座ってご飯を食べようねと伝えるときちんと座ってくれました。」
 
会話のポイント
登降園時は、保護者と顔を合わせて会話ができるチャンスです。
特に、楽しんでいたことやできるようになったことは保護者にとってうれしい報告ですので、積極的に伝えましょう。
伝えにくい内容の場合は「お伝えしたいことがあるのですが…」「こちらの確認不足もあり申し訳ないのですが…」などクッションとなるフレーズを挟むことで伝えやすくなります。
新人保育士のうちは、なにも話すことがない場合もあるでしょう。笑顔であいさつするだけでも印象は違いますので、新人研修で伝えておくと安心です。
 
立ち居振る舞い(ものの扱い、姿勢など)
言葉づかいやあいさつが丁寧でも、普段の行動や姿勢によっては注意が必要な場合があります。
たとえば、歩き方が威圧的、会話をするときに斜め立ち・腕ぐみをする、ほおづえをつくなど、相手から見たときに印象のよくない立ち居振る舞いをしている場合です。
 
また、ものを投げて渡す・置くといった行動も、ものを大切にしていないと思われるばかりか、子どもが真似しかねません。
自分の立ち居振る舞いは、自分では気づきにくいものです。新人研修のなかで、お互いに伝え合ったり、主任などの言いやすい立場の方から伝えておくようにしましょう。
 

 
 

接遇マナーを知り、信頼される保育士を目指しましょう

 
保育士の新人研修は、「接遇マナー」について知らせる絶好の機会です。
「接遇マナー」を実践することで、保護者や外部の方からの印象がよくなり、円滑にコミュニケーションをはかれるようになるでしょう。
 
「接遇マナー」によって、保護者との信頼関係を早期に構築できれば、保育への協力が得やすくなり、子どもによい影響がでてきます。
新人研修で「接遇マナー」について理解してもらえるよう、具体的な伝え方を心がけましょう。
 

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