園内研修ってどうやるの?園内研修の進め方を紹介

保育士のスキルアップを目的とした研修のひとつに「園内研修」があります。園内研修は自園で行うため、どのような内容にするか、 実施に向けた事前準備が必要です。
はじめて研修を担当することになった際は、研修内容の選定や進め方など、不明点も多いことでしょう。
そこで今回は、園内研修の実施方法や進め方についてご紹介します。それぞれの研修内容のメリットやデメリットもお伝えするので、園内研修の準備にぜひお役立てください。
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園内研修とは?
園内研修とは、保育士の保育力向上や園が提供する保育の質の向上を目的とした園内で行う研修です。
ここでは保育士にとっての研修の必要性、園内研修の目的と重要性について解説します。

なぜ保育士に研修が必要なのか
多くの子どもや保護者とかかわるなかで、保育士が適切な保育を行うためにはさまざまな課題や悩みもあることでしょう。
保育士の研修は、保育で生じる課題を解決し、より専門的なスキルを向上させるために必要です。
同時に、時代とともに多様化する子育てニーズに対応するため、保育園には保護者・家庭・地域と連携した「広い子育て支援」が求められています。保育園の役割が広がったことで、保育士一人ひとりの更なる資質向上が求められているのです。



園内研修の実施目的と重要性
園内研修を実施する目的は、保育士のスキルアップのため新たな知識や技術の講習を受けることや、保育士同士で意見を交換し情報を共有することです。
保育士の仕事は忙しく、自己研鑽する時間や保育の悩みを相談する機会もなかなか取れないことが多いでしょう。
園内研修は日程から内容までそれぞれの園で設定できる部分が大きなメリットです。職員が参加しやすい日程、園の課題に合わせた研修テーマで実施できます。
園内研修は、保育士が抱える課題や悩みを共有し合い、スキルアップするための重要な機会です。
全員での参加が難しい場合は、代表者が参加し各クラスに持ち帰ったり、研修資料を回覧したり、研修を短時間に分割するなどの工夫をして園内研修を実施しましょう。
園内研修の実施方法と進め方
園内研修の方法は、主に以下の4つがあります。
・講義研修
・ディスカッション
・公開保育
・外部講師を呼ぶ
それぞれのメリットやデメリット、研修を進める際のポイントをご紹介します。
講義研修
講義研修は、園内で周知しておきたい情報を研修担当者が資料にまとめ、職員に講義形式で伝える園内研修の形態のひとつです。
主任保育士など経験の多い保育士が中心となって進めることが多いでしょう。研修担当になった場合は、事前に予定や内容を決め、資料作成などの準備が必要になります。
講義研修のメリット
・全員に正しい知識を均一に伝えることができる
・職員が参加しやすい日程を調整できる
・研修内容を事前に把握でき、イメージがしやすい
・自園に必要な内容に合わせた研修が行える
事前に職員から研修テーマを募ることで、自園の保育士が求める内容の研修を行うことができます。
講義研修のデメリット
・受け身になってしまう可能性がある
・一人ひとりの理解度を把握することが難しい
・研修の事前準備が大変
講義の内容決めや資料作成など、研修を担当する保育士は事前準備の負担が大きくなりがちなため、作業を分担するなど複数名で協力して行うことが大切です。
講義研修の進め方のポイント
・園の課題に合った目的を決める
・より多くの職員が参加できる日程を決める
・確実に伝えたい重要なポイントを絞り込む
研修担当者は職員からの聞き取りを行うなどして、園の課題抽出を行いましょう。
講義研修は忙しいなかでも全員が研修を受けられるようにすることが大切です。
講義研修に向いている研修事例
講義研修に向いている事例を3つご紹介します。
〇保護者への対応方法
保護者対応を園全体で統一させるための研修テーマです。
保育士によって対応が異なるといった事態を防ぐことができます。
〇アクシデントへの対応方法
子どものケガや事故、災害時や不審者がいた場合など、さまざまな状況に合わせた対応について確認します。対応マニュアルに基づいた講義がおすすめです。
〇気になる子どもへの対応方法
職員同士で気になる子どもの情報を共有し、困りごとがあれば対応方法などを検討します。保育士の対応を統一するために必要な研修です。
ディスカッション
ディスカッションは、園内研修で最もポピュラーな方法です。
日々の保育で生じる課題や悩みを保育士同士で共有し、解決に向けて意見を交換し合うことができます。
ディスカッションのメリット
・ほかの保育士メンバーの視点から意見を聞くことができる
・事前準備が少なくて済むため、研修を実施しやすい
・保育士同士のチームワークやコミュニケーション力が向上する
ひとりで悩みを抱えないためにも、保育士それぞれの価値観や視点から意見を交換する機会を設けることはとても大切です。
ディスカッションのデメリット
・運営や進行をコントロールしにくい
・解決策が見つけられずに終わってしまう可能性がある
・意見を言うことが苦手な保育士や新人保育士の場合は負担に感じる可能性がある
ディスカッションの進行役が、意見を聞いたり話を振ったりするなど上手くコントロールしないと、意見が偏ってしまったり、結論が出ずに終わってしまうことがあります。
人前での発言が苦手な人や新人保育士は、意見を出せないこともあるでしょう。進行役にあたる保育士はファシリテーションの技法を学ぶことをおすすめします。
ディスカッションの進め方のポイント
・ディスカッションの必要がある課題を抽出する
・意見が言いやすいようグループ分けをする
・最後にグループごとにディスカッション内容の結果を発表する
ディスカッションを有意義な研修にするためにも、グループディスカッション形式にするなど意見を言いやすい工夫をするとよいでしょう。ほかのグループの結果を聞くことで、違った発見や気づきを得ることができます。
ディスカッションに向いている研修事例
ディスカッションに向いている事例を3つご紹介します。
〇ディスカッションを行う保育士メンバーのよいところを発表し合う
保育中の失敗などで、保育士としての自信をなくしてしまうこともあるでしょう。保育士同士でそれぞれのよいところを褒め合う機会を作ることで、精神面のケアにつながります。
〇保育士としての子どもとの関わり方について意見を交換し合う
子どもの活動写真や指導事例を持ち寄り、保育士のかかわりについて意見を交換しましょう。
それぞれの意見をまとめて発表し合うことで、今後の保育に活かすことができます。
〇保育をするうえでの悩みについて意見を交換し合う
保育をするうえでの悩みを自由に発表し合いましょう。
それぞれの悩みについて解決策を出し合うことで、保育をするうえでの考え方や資質の向上につながります。
公開保育
外部の見学者を招き、日常の保育を公開する研修方法を「公開保育」といます。
公開保育は、自分の保育に対し客観的な意見を聞くことができる貴重な機会です。
保育士の発言や行動を他者に見られるため緊張感もありますが、さまざまな視点から評価を受けることで新たな気づきや学びを得ることができるでしょう。
公開保育のメリット
・日常保育を評価してもらえる
・客観的な意見をもらうことで、自分の保育を見直すことができる
・保護者にとっては、子どもの様子や保育士とのかかわりを確認することができる
保育士として、自分の保育を振り返り反省することは可能です。しかし、外部から見学者を招き意見をもらうことで、自分自身や同じ園のメンバーでは気づかなかった改善点や課題を見つけることができるでしょう。
また、外部の保育士にとっても他園の日常保育を見学することで、自園の保育を見直すきっかけになります。
保護者も参加可能な公開保育であれば、子どもが保育園でどのように過ごしているのか確認でき、安心につながるでしょう。
公開保育のデメリット
・事前準備や当日の会場設定が大変
・見学者がいることで子どもたちが落ち着かず、普段通りの保育ができない可能性がある
園の資料作成や、外部見学者を招くための準備などで、ほかの園内保育とは違った大変さがあるでしょう。
また、見学者の存在で子どもたちの落ち着きがなくなる可能性があります。保育士の話を聞けなかったり、子どもたちが普段より興奮してしまったりする場合もあるでしょう。
公開保育の進め方の3つのポイント
・公開保育の日程などを決める
・当日のタイムスケジュールを決める
・振り返りの場を設ける
公開保育を実施する日程は、行事などで忙しい時期は避けたほうが無難です。
また、保護者に公開保育を行う際は2グループに分けるて来園時間を設定するなど、なるべく落ちついて見学できるスケジュールを立てるとよいでしょう。
公開保育後は、頂いた意見や評価を振り返る場を設け、今後の保育に活かしていくことが大切です。
外部講師に研修を依頼する
より専門的な知識や技術を得るために、外部講師に依頼して研修を行います。
外部講師の専門性に特化した研修を受けることで、内容を深く理解し、スキルアップにつなげることができるでしょう。
外部講師を呼ぶメリット
・質の高い研修を受けることができる
・専門的な知識や情報を得ることができる
・研修内容の準備が不要
音楽・運動など専門分野に特化した外部講師を呼ぶことで、内容が濃く質の高い研修を受けることができます。
研修内容の準備も不要なので、保育士が負担を感じることなく進められるでしょう。
外部講師を呼ぶデメリット
・研修費用がかかる
・講師の力量に左右される
・園のルールや方針と合わない可能性がある
外部講師を呼ぶ際には、謝金を支払う必要があります。交通費や弁当代などが必要になる場合もあるため、ほかの園内研修と比べるとコストがかかるといえるでしょう。
また、専門分野の講師であっても講義の指導力によっては、得られる知識や情報量に差が出る場合があります。
園のルールや方針によっては、外部講師の講義内容が自園と合わないこともあるため注意が必要です。可能であれば事前に講師とすり合わせを行うことをおすすめします。
外部講師を呼ぶ進め方の3つのポイント
・研修の目的、テーマを決める
・講師に依頼する
・研修後、振り返りを行う
園の方針や課題に合う研修テーマを選定することで、受講した内容を保育に活かしやすくなります。
研修で使用する道具や事前に準備しておくことなども確認しておきましょう。
研修後は保育士同士で振り返りを行い、内容のまとめや今後に活かすための工夫などについて話し合う機会を設けることが重要です。
外部講師に向いている事例
外部講師に向いている事例を3つご紹介します。
〇製作や遊び、リトミックなど技術向上を目的とした研修
普段の保育に活かせる技術の研修を受けることで、保育士としてのレパートリーを増やすことができます。
また、子どもへの指導のコツやポイントを学ぶことで、保育の質を高めることにもつながるでしょう。
〇食育、障がい児、病児など専門知識を学ぶことを目的とした研修
子育てニーズに対応するためには、保育技術以外のさまざまな専門知識も学ぶ必要があります。専門知識を身につけることで保育の質が高くなり、保護者の悩みに寄り添いやすくなるでしょう。
〇児童福祉や保育の新制度などの知識を学ぶための研修
保育所保育指針の改定や、子どもを取り巻く法律・条令の変化などを学びます。数年で大きく変わることもあるため、最新の情報を知っておくことで保育だけでなく保護者支援にも役立ちます。
まとめ
園内研修の実施方法や、各研修形態のメリット・デメリットについてお伝えしました。
自園の職員同士で学び合うことができる園内研修は、保育士一人ひとりのスキルアップに加えて園全体の資質向上がのぞめるでしょう。
研修担当になった場合は、園における課題を抽出し、実施すべき研修テーマを選定する必要があります。
ぜひ今回お伝えした内容を参考に、テーマに合った実施方法で園内研修を実施してみてくださいね。
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